婚活のプロフィールを書くとき、
私たちはつい、“自分をよく見せる言葉”を並べてしまう。
「旅行が好きです」
「お料理が得意です」
「穏やかな性格と言われます」
それは間違いではない。
でも、書き終えたあと、どこか自分のことを
“誰かの理想に合わせたキャラクター”にしてしまった気がすることはないだろうか。
プロフィールは本来、“自己紹介”のはずなのに、
いつの間にか“営業資料”のようになってしまう。
そんなとき、ふと頭に浮かぶ。
――「嫌いなこと」は、書かないほうがいいのかな?
でも、実はその“嫌いなこと”こそ、
あなたらしさを一番よく表す言葉なのだ。
婚活プロフィールで大切なのは、
“好かれること”ではなく、“分かり合えること”。
“好きなこと”だけを並べたプロフィールは、
どこか似たり寄ったりになる。
でも、“嫌いなこと”には、
あなたが大切にしている価値観が滲む。
たとえば、
「約束を守らない人が苦手」と書く人は、
誠実さを大切にしている人。
「人の悪口を言う雰囲気が嫌い」と書く人は、
優しさや穏やかな関係を求めている人。
“嫌い”という言葉の裏には、
“こうありたい”という願いが必ずある。
つまり、“嫌いなこと”とは、
“自分の軸”を教えてくれる羅針盤なのだ。
ある女性の話をしよう。
彼女は、婚活プロフィールに
「嫌いなことは、否定から入る会話」と書いた。
少し強い表現かもしれない、と迷ったという。
けれど、それは彼女の中でどうしても譲れない部分だった。
そして、実際にそのプロフィールを見た男性から、
こんなメッセージが届いた。
「僕も同じです。人の意見をすぐに否定する空気って苦手ですよね。
会話は、正しさよりも優しさのほうが大事だと思います。」
その一文に、彼女は心が温かくなったという。
“嫌いなこと”を書いたことで、
自分と同じ感性を持つ人に出会えたのだ。
婚活の世界では、
「ネガティブなことは書かないほうがいい」と言われがちだ。
確かに、“愚痴のような嫌い”は伝え方に注意が必要だ。
けれど、正直に自分の価値観を伝える“嫌い”は、
むしろ誠実さの証。
“嫌い”を隠してまで好かれようとする恋愛は、
いつか無理が生まれる。
逆に、最初から「こういうのは苦手です」と伝えられる人は、
長く信頼される。
本当に相性がいい相手は、
あなたの“嫌いなこと”を聞いて引くのではなく、
「わかる」とうなずいてくれる人だ。
“嫌いなこと”を書くときのポイントは、
「何が嫌いか」よりも「なぜ嫌いか」を意識すること。
たとえば、
「人混みが嫌い」だけだと閉じた印象になる。
でも、
「静かな場所で穏やかに過ごす時間が好きです」と書けば、
伝わり方がまるで違う。
言葉を少し変えるだけで、
“嫌い”が“生き方”になる。
つまり、婚活プロフィールで“嫌いなこと”を書くというのは、
自分の生き方を丁寧に言語化する作業なのだ。
ある女性は、婚活プロフィールを何度も書き直していた。
「旅行好き」「映画好き」「犬が好き」――
たしかにどれも嘘ではないけれど、
何かが足りない気がしていた。
ある日、彼女は思い切ってこう書いた。
「好きなことは、静かなカフェで読書する時間。
嫌いなことは、人を急かす空気。」
それを見た男性から、メッセージが届いた。
「わかります。急かされると心がざわつきますよね。
自分のペースを大事にしている方なんですね。」
彼女は思った。
“嫌いなこと”は、
“私を理解してくれる人を見つけるフィルター”なのだと。
婚活のプロフィールは、
「理想の自分」を描く場所ではなく、
「ありのままの自分」を思い出す場所。
“嫌いなこと”を書くのは、勇気がいる。
でも、それを書くことで、
あなたの輪郭がはっきりする。
曖昧な“いい人”ではなく、
ちゃんと“あなた”として見てもらえる。
そして、
あなたの“嫌い”を大切にできる人こそ、
きっとあなたを一番幸せにする人だ。
婚活プロフィールに“嫌いなこと”を書く――
それは、自己防衛ではなく、自己尊重の行為だ。
誰かに合わせるのではなく、
“自分がどんな人間でありたいか”を示す小さな宣言。
だから、たとえそれで選ばれなかったとしても、
それは「合わなかった」のではなく、
「無理をしなくてよかった」ということ。
あなたが本音で書いた言葉は、
同じ本音で生きている人を必ず引き寄せる。
婚活は、
“好かれる競争”ではなく、
“共感の対話”。
“好きなこと”で惹きつけるより、
“嫌いなこと”で分かち合うほうが、
関係はずっと深く、長く続く。
だから、プロフィールを書くとき、
ほんの少し勇気を出して、
「私、こういうのが苦手なんです」と書いてみてほしい。
その一行が、
あなたの心にフィットする出会いを呼び寄せる。
“嫌いなこと”は、
あなたの弱点ではない。
あなたの“軸”であり、
“愛し方”のかたちなのだから。