最近、「大学生 婚活」という検索が増えているという。
最初にその言葉を見たとき、正直、少しだけ驚いた。
「まだ早いのでは?」という気持ちと同時に、
「それだけ時代が変わったのかもしれない」とも思った。
20歳そこそこで「結婚を意識している」と言う学生に出会うと、
大人たちはつい笑ってしまう。
「今はもっと自由に恋愛を楽しめばいいのに」
「そんなに急がなくても、人生は長いよ」
けれど、彼ら・彼女たちの言葉に耳を傾けていると、
そこには単なる“焦り”ではなく、
「確かなつながりを求める誠実さ」が見えてくる。
ある女子大生が言っていた。
「恋愛って、軽く始まって軽く終わることが多いですよね。
でも、そういう関係を繰り返しても、心が疲れるだけなんです」
SNSで簡単に誰かとつながれる時代。
でも、簡単に切れてしまう関係の中では、
“信じる”という感覚が育ちにくい。
だから彼女は言った。
「最初から“結婚を考えたい”と思ってる人の方が、
なんか、ちゃんと向き合ってくれる気がして」
――婚活を始めた大学生たちは、
早すぎる理想主義ではなく、
“本気で生きたい”という真面目さの延長線にいるのかもしれない。
昔、「恋愛と結婚は別」とよく言われた。
恋はときめき、結婚は生活。
でも今は、その境界が曖昧になっている。
SNSやマッチングアプリの普及によって、
“誰かと出会う”こと自体は簡単になった。
けれど、そのぶん「何を求めるか」が問われるようになった。
“恋愛したい”人もいれば、“将来を見据えたい”人もいる。
お互いの目的が違えば、会話の温度もすれ違う。
だからこそ、大学生であっても“婚活”という言葉に惹かれる。
それは、確かな未来を願う人の心の現れだ。
ただ、一方で注意したいこともある。
“結婚を目的にした出会い”は、
ときに“自分を急かす出会い”にもなってしまう。
20代前半で「結婚を考えてる」と言うと、
「偉いね」「しっかりしてるね」と言われる。
でもその裏で、「早く結果を出さなきゃ」と
無意識にプレッシャーを感じてしまう人も多い。
本当の意味での婚活とは、
“相手を探すこと”ではなく、
“自分を理解していく過程”でもある。
だから、大学生の婚活は、
「誰と生きるか」を探すより先に、
「どんな自分でいたいか」を見つめる時間なのだ。
たとえば、ある男子学生はこう話してくれた。
「周りが就活の話をしている中で、
自分は“人生を誰と歩むか”を考えるようになったんです。
仕事も大事だけど、結局は人との関係で決まる気がして。」
彼の言葉には、現代的なリアリズムがある。
仕事・お金・恋愛・家庭――
どれもバラバラではなく、
“生き方そのもの”としてつながっている。
婚活という言葉に惹かれる大学生たちは、
もしかすると、誰よりも「生き方」を真剣に考えている世代なのかもしれない。
けれど、だからこそ伝えたい。
「急がなくていい」と。
婚活は競争ではない。
人生のペースには、それぞれの呼吸がある。
20歳で結婚を意識してもいいし、
30歳で恋を知ってもいい。
40歳で再出発する人だっている。
“早い・遅い”という比較の中で
焦りを募らせる必要はない。
大切なのは、
「この人となら、自然でいられる」と思える相手に出会えること。
そして、それが“今”なのか“未来”なのかは、
誰にも決められない。
大学生の婚活を見ていると、
「若さ=未熟」ではないことを感じる。
むしろ、彼らの中にある純粋な誠実さは、
大人が忘れかけた“真っ直ぐな愛”の原点を思い出させてくれる。
条件や打算で動くより、
「ちゃんと向き合いたい」という言葉の方がずっと強い。
それは、“軽やかな恋愛”が主流の時代にあって、
静かに燃えるような誠実さだ。
婚活を始める年齢よりも、
“どんな気持ちで始めたか”の方が、
ずっと大切なのだと思う。
焦らなくていい。
あなたの“今の誠実さ”は、
たとえすぐに結果につながらなくても、
確かにあなたを育てている。
婚活は、未来への準備ではなく、
「今を丁寧に生きる練習」なのかもしれない。
恋愛が軽やかすぎる時代に、
真面目に愛を考えること。
それは、ほんの少し勇気のいることだけれど――
その静かな勇気こそが、
あなたを本当の出会いへと導いてくれる。