婚活をしていると、
LINEがどんどん「仕事」みたいになっていく瞬間がある。

マッチングアプリで出会い、やり取りを始めて、
「こんにちは」「お休みなさい」「今日は仕事ですか?」
──そんな会話を、毎日繰り返す。

最初は楽しかったのに、
いつの間にかスマホを見るたびに、ため息が出る。
「返さなきゃ」「話を続けなきゃ」
そう思うほど、心が少しずつ重くなっていく。

それは、あなたが怠けているからでも、
恋に不器用だからでもない。
むしろ、真面目に人と向き合おうとしているからこそ
しんどくなっているのだ。


LINEがつらくなるのは、
「相手に合わせよう」とする気持ちが強すぎるときだ。

婚活では、“印象”がすべてだと思ってしまう。
既読スルーしたら冷たい人と思われるかも。
短文だと、興味がないと思われるかも。
だから、いつも“ちょうどよい返信”を考えながら、
自分の言葉を選んでしまう。

でも、人はそんなに器用に心を調整できない。
本当は疲れている日もあるし、
話したくない夜もある。

それでも「頑張って返す」ことで、
少しずつ、自分が削れていくのだ。


ある女性がこう言っていた。
「LINEって、相手との距離が見えるようで、見えないんですよね。
既読になった時間、返信の速さ、スタンプの種類…。
全部が“気にする材料”になっちゃう。」

彼女は毎日、相手の既読時間を見ては、
「脈があるのかな」「もう飽きられたのかな」と考えていたという。
でも、ふと気づいたそうだ。
「私、恋をしてるんじゃなくて、“評価”を待ってるみたいだった」

その気づきは、婚活の本質を突いている。
婚活LINEがしんどいのは、相手とつながること以上に、 “好かれているかどうか”を確認し続ける疲れがあるからだ。


婚活では、“進展していない時間”が怖い。
返信がないと、
「私はどう思われているの?」という不安が膨らむ。

でも、実はこの“空白の時間”こそが、
恋愛の中で一番大切な間(ま)なのだ。

相手が考えている間に、
あなたも自分の心を見つめ直す時間をもらっている。
それは「試されている時間」ではなく、
「整える時間」なのだ。

恋愛が成熟するのは、
沈黙を恐れなくなったとき。
そして、
“話さなくても心が通う関係”に近づいたとき。

LINEを続けることが目的ではなく、
心をつなぐことが目的のはずだ。


けれど現実には、
婚活アプリでのLINEは“次に会えるか”を決める大切な場。
だからこそ、やめ時がわからなくなる。
「ここで返信を止めたら、終わるかもしれない」
そう思うと、無理をしてでも続けてしまう。

でも、本当にご縁がある人とは、
無理をしなくても会話が続く。
沈黙すらも、どこか温かい。

“しんどい”と感じた時点で、
それはあなたの心がサインを出している。
「このやり取り、もう私らしくない」と。

婚活は、“誰かと出会う旅”であると同時に、
“自分の限界を知る旅”でもあるのだ。


もし、婚活のLINEがつらいと感じたら、
無理に盛り上げなくてもいい。

「今日はちょっと疲れてるので、また明日お話ししましょう」
それだけでいい。

誠実に伝えることは、
相手にとっても誠実な行為だ。
もしそれで離れるような人なら、
あなたの誠実さに見合う人ではない。

逆に、そう言えるあなたを理解してくれる人なら、
その関係は少しずつ“本当のつながり”へと育っていく。


LINEのやり取りは、
愛の「確認作業」ではなく、
「共鳴の練習」だ。

相手の反応で一喜一憂するよりも、
“この人といるときの自分”を見てほしい。
無理をしているのか、自然でいられるのか。
それが、その関係の答えを教えてくれる。

婚活がつらいときほど、
人は“つながる方法”に意識を向けすぎてしまう。
でも本当に大切なのは、
どうつながるかではなく、 どう在りたいか。


焦らなくていい。
返信が遅くても、会話が止まっても、
それで終わる縁なら、それまでのもの。

婚活のLINEがしんどく感じるのは、
「相手を大切にしたい」という気持ちがある証拠。
だからこそ、その優しさを自分にも向けてあげてほしい。

たとえ一時的に“既読スルー”を選んでも、
あなたが心を守るために必要な沈黙なら、
それは立派な愛の形だ。


あなたの丁寧さは、
決して無駄にならない。

どれだけしんどくても、
誰かを大切にしようとしたその気持ちは、
ちゃんとあなたの中で、愛する力として残っていく。

だから今日は、
返信よりも、自分の呼吸を整えて。
スマホを閉じて深呼吸をしたその一瞬こそ、
“本当のつながり”の始まりなのかもしれない。