婚活をしていると、LINEが日常の一部になる。
マッチングアプリや相談所で出会い、
「これからはLINEでやり取りしましょう」と言われる。

そこからが“関係づくりのスタート”のはずなのに、
なぜか、心が重くなる。

「返すのが面倒になってきた」
「会話が続かない」
「どう返信したらいいか分からない」

婚活のLINEが楽しくない――
それは、珍しいことではない。
むしろ、多くの人が感じている“静かな疲れ”なのだ。


最初の頃は、少しワクワクしていた。
どんな人だろう。
次はどんな話題が来るだろう。

けれど、数日、数週間とやり取りを重ねるうちに、
その気持ちは少しずつ薄れていく。
テンプレートのようなやり取り、
当たり障りのない会話、
繰り返される「おはようございます」「お疲れさまです」。

まるで“会話を続けること”が目的になってしまう。

そして、気づけばLINEが“義務”に変わっている。

「返信しなきゃ」
「この人、楽しそうじゃないかも」
「盛り上げないと、終わってしまうかも」

そうやって心をすり減らしながら、
スマホの画面を見つめてしまう。


婚活のLINEが楽しくないとき、
問題は「相手との話題」でも「会話スキル」でもない。
それは、“心の呼吸”が合っていない状態なのだ。

恋愛は、テンポではなく、呼吸で育つ。
相手と話すとき、どんなペースで、どんな間で言葉を交わせるか。
そこに自然なリズムがある人とは、会話がなくても心地いい。

逆に、リズムが合わない人とは、
どれだけ頑張っても“楽しくない”のだ。

それはあなたのせいでも、相手のせいでもない。
ただ、リズムが違うだけ
それだけのことだ。


ある女性が言っていた。

「婚活中にLINEが苦痛になるときって、
相手に興味がないというより、
“自分が誰かに合わせすぎてる”ときなんですよね。」

彼女は、相手が楽しそうにしてくれるように、
常に明るい言葉を選び、
自分から質問を投げ続けていた。

でも、返ってくるのは短い返信だけ。
やり取りは続いているのに、心はどんどん疲弊していった。

「ある日気づいたんです。
私、誰かとLINEしてるというより、
“自分の孤独”を埋めるためにメッセージを送ってたんだなって。」

その気づきは、少し痛かったけれど、
それ以降、彼女の婚活は変わった。
“話すためのLINE”から、“つながるためのLINE”へ。


婚活では、「会話を続ける」ことが良いことのように思える。
でも、本当は“無理して続けなくていい会話”もある。

LINEが楽しくないとき、
それは“縁がない”というより、
“自分が自然体でいられない相手”なのかもしれない。

婚活は、「自分を出す場所」ではなく、
「自分が安心できる場所」を探す時間でもある。

沈黙が怖くない相手。
無理に返信しなくても関係が保てる相手。
そんな人と出会えたとき、
初めて“楽しいLINE”が始まるのだ。


「でも、LINEが苦手だと、婚活は難しいですよね?」
そう思う人もいるだろう。

確かに、今の婚活ではLINEが中心のコミュニケーションだ。
けれど、“文字のやり取り”がうまくいかなくても、
“気持ちのやり取り”ができる人は、必ずいる。

あなたが丁寧に言葉を選ぶ人なら、
それはすでに誠実さの証。
スタンプひとつでも温かさを感じられる人なら、
その誠実さを受け取ってくれる相手は、必ず現れる。

恋愛は、テンポではなく、体温でつながるものだから。


もうひとつ、大切なことがある。
“楽しくないLINE”を無理に続けると、
“自分を嫌いになる”という副作用が起こる。

「私、会話が下手なのかな」
「つまらない人間なのかも」

でも、本当は違う。
あなたが感じている“退屈”や“違和感”は、
心があなたに教えてくれているメッセージだ。

“この人とは、ペースが合わない”
“この関係では、自分を大切にできない”

それに気づくことは、失敗ではない。
むしろ、自分の心の声を取り戻す瞬間だ。


婚活のLINEを“頑張る時間”から“確かめる時間”に変えてみよう。

・この人とやり取りしていて、心が落ち着くか?
・無理して盛り上げようとしていないか?
・「返信しなきゃ」と思うより、「話したい」と思えるか?

この3つを感じ取るだけで、
LINEはあなたの「心の鏡」になる。

そして、楽しくない時間が増えたときこそ、
“本当に大切にしたい関係”が見えてくる。


焦らなくていい。
LINEが続かなくても、
婚活が止まってしまっても、
それであなたの価値が下がるわけじゃない。

誰かと無理に盛り上がるより、
“誰かと静かに通じ合える”方が、ずっと尊い。

会話が弾まなくても、
その人の言葉に安心を感じる。
それこそが、心の相性。

婚活でLINEが楽しくないと感じたときは、
「自分が悪い」と思う代わりに、
こうつぶやいてみてほしい。

――「私、ちゃんと人を大切にしようとしてるんだな」

その優しさこそ、
次の出会いをやわらかく照らす光になる。