「婚活では、女性から申し込みしてもいいんでしょうか?」
そう尋ねられるたびに、私はこう思う。
──いいも悪いもない。
それは、あなたの人生をどう生きたいか、という選択の話だと。
婚活の場では、
今でも“男性がリードするもの”という空気がある。
申し込みも、誘いも、告白も。
女性は“待つ側”でいるほうが自然──
そんな古い前提が、どこかで息をしている。
でも本当は、
“待つ”という姿勢ほど、心をすり減らすものはない。
「いい人がいない」と言いながらも、
“自分から動けない”まま時間が過ぎていく。
その間に、自分の中の自信が
少しずつ、静かに削れていく。
婚活における「申し込み」は、
ただのボタンひとつの行為じゃない。
それは、“自分の人生を自分で選び取る力”の表れなのだ。
「女性から申し込みなんて、ガツガツして見えませんか?」
そう感じる人も多い。
でも、実際に婚活を成功させている女性たちは、
驚くほど“自分から動いている”。
彼女たちは知っている。
申し込みとは、相手を追いかける行為ではなく、
「この人とちゃんと向き合いたい」という
誠実な意思表示であることを。
だから、彼女たちのメッセージは軽くない。
“数を打てば当たる”ではなく、
“ひとりひとりと丁寧に向き合う”ための行動。
その姿勢が、
相手に伝わる“温度”を変えていく。
実際、婚活サービスの現場では、
女性からの申し込みで関係が始まるケースは少なくない。
むしろ、真剣度が伝わる分、
“お互いに丁寧なやり取り”が生まれやすい。
なぜなら、
男性もまた不安を抱えているからだ。
「自分なんて、選ばれないかもしれない」
「好意を持たれていないなら、誘いづらい」
そう思って動けない男性は多い。
そんなときに、
女性からのひとつの“申し込み”が、
相手の背中を押す。
“受け身の優しさ”よりも、“能動的な誠実さ”。
その一歩を踏み出せる人が、
本当の意味で“出会いの流れ”を変えていく。
婚活が長引いてしまう人の中には、
「申し込みをして断られたら怖い」と感じる人が多い。
でも、それは当然のことだ。
誰だって、拒まれるのは怖い。
けれど、
“断られること”を避けて生きようとすると、
“選ばれること”も同時に失ってしまう。
婚活で大切なのは、
“うまくいくこと”ではなく、
“自分を試していけること”。
あなたが動いたという事実そのものが、
経験と自信になる。
申し込みとは、
「私の中の勇気を、少しだけ使ってみる行為」なのだ。
ある女性の話をしよう。
彼女は、
婚活アプリで1年以上“待つ側”にいた。
申し込みはすべて男性から。
自分から動くことはなかった。
でも、ある日、ふと気づいたという。
「私は“誰かに見つけてほしい”と願ってばかりで、
本当の意味で“自分から見よう”としていなかったんだ。」
その日から、
彼女は気になる人には自分から申し込むようにした。
すると不思議なことに、
断られても落ち込まなくなった。
なぜなら、
「自分が選んだ」という誇りがあったから。
その中で出会った一人の男性と、
穏やかに関係が始まり、今は婚約している。
彼女はこう言った。
「私から動いた瞬間、婚活が“試される場所”ではなく、
“自分を表現する場所”に変わったんです。」
婚活で“女性から申し込み”をするということは、
「恋愛の主導権を取り戻す」ということでもある。
多くの女性が、
恋愛では“選ばれる側”として育ってきた。
褒められること、誘われること、求められること。
それが“価値の証”だと教えられてきた。
けれど、結婚とは、
「誰に選ばれたか」よりも、
「誰を選んだか」で決まるもの。
受け身のままでは、
自分が心から望む幸せにたどり着けない。
“申し込み”という行為は、
その古い構造を静かに壊す。
あなたの人生を、
他人の判断に預けないという意思表明だ。
もちろん、現実的にはうまくいかないこともある。
申し込んでも返事がない。
断られて心が痛む。
でも、それでも動いた人だけが、
“経験”ではなく“軸”を手に入れる。
誰かに断られるたびに、
「私はどういう人に惹かれるんだろう?」と
自分に問い直すようになる。
そして気づく。
“相手に選ばれたい”という願いより、
“自分が納得できる選択をしたい”という願いの方が、
ずっと静かで、強いことに。
その瞬間、
婚活は“勝ち負け”の場ではなく、
“自己信頼の修行”に変わる。
婚活の「申し込みボタン」を押すという小さな行為には、
たくさんの感情が詰まっている。
期待、不安、勇気、そして希望。
でも、その一瞬のクリックは、
確かにあなたの人生を動かす。
恋愛も結婚も、
待つだけでは始まらない。
誰かがあなたに気づくのを待つより、
あなたが“誰かに気づく力”を持つ方が、
ずっと人生は豊かになる。
婚活で女性から申し込みをすることは、
“積極的”でも“勇ましい”ことでもない。
それは、自分の人生を信頼する行為だ。
自分の目で見て、
自分の手で選び、
自分の心で動く。
その姿勢の中にこそ、
大人の女性の静かな強さがある。
待っているだけの恋は、
“偶然”の上に成り立つ。
でも、動き出した恋は、
“意志”の上に育っていく。
婚活の成功を決めるのは、
魅力の差でも、年齢でもない。
「自分の人生を、自分で選べる人かどうか」──
その一点だけだ。
だから、今日。
もし気になる人がいるなら、
どうか迷わずに申し込んでほしい。
あなたがボタンを押す瞬間、
世界は、ほんの少し変わる。
それは“恋の始まり”というよりも、
“自分の人生を取り戻す瞬間”なのだから。