婚活パーティーの帰り道。
手にしたマッチングカードに書かれた「いいね」の数を見て、
少しだけ心が浮き立つ。
それなのに――
帰りの電車に揺られながら、胸の奥はなぜか空っぽだ。
「どうして“いいね”をもらっても、嬉しいはずなのに、虚しいんだろう」
そんな気持ちになったことはないだろうか。
婚活パーティーでの「いいね」は、
一見、シンプルなコミュニケーションだ。
「話しやすかったです」
「もっと知りたいと思いました」
――そんな軽やかなサイン。
でも実際には、その一つ一つに、
“人に選ばれたい”という切実な願いが込められている。
婚活を始めると、
いつの間にか「誰かに認められること」が目的になってしまうことがある。
「いいね」をもらうたびに、
“私にもまだ価値がある”と安心し、
“もらえなかった自分”を責めてしまう。
けれど、本来の婚活は、
“誰かに選ばれる”ことではなく、
“自分に合う人を選ぶ”ことのはずだ。
それなのに、
「いいね」の数が多い=成功、
少ない=価値がない、
というように、自分の存在を数字で測ってしまう。
なぜ、婚活パーティーの「いいね」は、
一瞬嬉しいのに、後から心が冷えていくのだろう。
それは、
“共感”ではなく“評価”として受け取ってしまうからだ。
「いいね」は、“あなたを知りたい”ではなく、
“あなたが良さそう”という“仮の印象”にすぎない。
つまり、「いいね」をもらった瞬間、
私たちは“人として見られた”のではなく、
“条件や印象で判断された”可能性が高い。
そしてその感覚が、
心の奥にある「本当のつながりを求める部分」を満たしてくれないのだ。
ある女性が話してくれた。
「婚活パーティーで“いいね”を5人からもらって、
一瞬“今日の私、イケてたかも”って思ったんです。
でも、家に帰って冷静になると、
誰一人として、ちゃんと心が通った感覚がなかったんですよね。」
彼女は続けた。
「そのとき気づいたんです。
“いいね”は、承認欲求を満たすけど、
“心”は満たしてくれないんだなって。」
それは、婚活において多くの人が感じている“静かな虚しさ”だと思う。
婚活パーティーで「いいね」をもらえなかった日、
つい自分を責めてしまうことがある。
「話が下手だったのかな」
「もっと可愛くすればよかった」
「年齢のせいかもしれない」
でも、それは違う。
たった数分の会話で本質を理解できる人など、ほとんどいない。
「いいね」をもらえなかったのは、
“あなたに魅力がない”からではなく、
“あなたの深さに気づける人に、まだ出会っていない”だけのこと。
むしろ、
“浅い関心”を引くより、
“深い理解”に出会うほうが、
ずっと大切で、時間のかかることだ。
一方で、「いいね」をもらっても、
本気で向き合ってくれる人が少ないと感じることもある。
連絡が続かない。
次のデートの話が曖昧。
“いいね”をくれたはずなのに、心が遠い。
それは、相手が“あなた”にではなく、
“恋愛そのもの”に興味を持っているからかもしれない。
婚活パーティーでは、
“人”よりも“結果”を急ぐ人が多い。
「誰かと付き合うこと」自体が目的になり、
相手の心を丁寧に見る余裕を失ってしまう。
でも、焦って手に入れた関係ほど、
簡単に崩れてしまうもの。
本当に大切なのは、
“いいねをくれる人”ではなく、
“あなたを大切にし続ける人”だ。
「いいね」は、始まりのサインにすぎない。
そこからどう会話を育て、
どう信頼を重ねていくか。
本当の婚活の核心は、そこにある。
だから、もしあなたが今、
「いいねが少ない」「反応が薄い」と落ち込んでいるなら、
少しだけ視点を変えてみてほしい。
“どれだけ選ばれたか”ではなく、
“どれだけ自分の心を使えたか”に注目するのだ。
笑顔を向けたこと、
相手の話を真剣に聞いたこと、
丁寧にありがとうを伝えたこと。
その積み重ねは、
「いいね」では測れない、
あなたの“人間としての魅力”を形づくっている。
婚活パーティーで大切なのは、
数でも印象でもなく、
“誠実な自分”を失わないこと。
一時的な“いいね”に心を揺らすよりも、
“この人となら落ち着く”という感覚を信じてほしい。
「いいね」は“選ばれた印”ではなく、
“出会いの入口”にすぎない。
そして、
あなたが“心でいいねを返したい人”と出会えたとき、
婚活は初めて“本当の意味でのスタート”を迎える。
婚活パーティーの「いいね」は、
あなたの価値を決めるものではない。
それは、
あなたの人生の“物語の1ページ”にすぎない。
焦らず、
比較せず、
そのページを丁寧にめくっていけば、
いつかきっと、
「数ではなく温度」でつながれる人に出会うだろう。
“いいね”の数ではなく、
“心がいいと思える人”を探す――
それが、成熟した婚活の形なのだと思う。