婚活と就活。
この二つを同時に進めていると、
毎日がまるで“面接週間”のように感じる。

履歴書とプロフィールカード。
どちらにも、自分をどう見せるかを考える時間がある。

「誠実に」「前向きに」「印象よく」。
気づけば、どちらの活動でも“正解の自分”を探してしまう。

けれど、ふと夜、静かになった部屋の中で、
こんな気持ちが浮かんでこないだろうか。

――私、何のために頑張ってるんだろう。


婚活と就活を同時にしている女性の多くは、
「人生を立て直したい」と感じている人だ。

転職を考えるのは、
今の仕事に行き詰まりを感じたから。
婚活を始めたのは、
これからの未来に“誰かと生きたい”と思ったから。

どちらも、まっとうで前向きな理由。
でも、それを同時に抱えると、
心の中に二つの“選ばれる不安”が生まれる。

仕事にも、人にも、
「自分を気に入ってもらわなきゃ」と思い始めるのだ。


就活では「社会的価値」を問われ、
婚活では「人としての魅力」を問われる。

どちらも“評価される場”。
だから、うまくいかない日が続くと、
自分の存在そのものが否定されたような気になる。

けれど、忘れてはいけない。

あなたが今、婚活と就活を同時に頑張っているということは、
“自分の人生をもう一度、ちゃんと生きようとしている”ということだ。

それは、誰にでもできることではない。


婚活も就活も、
“選ばれる活動”に見えるけれど、
本質的には“選ぶ活動”でもある。

会社を選ぶ。
人を選ぶ。

どちらも、自分の未来を誰と、どんな場所で築いていくかを考える時間。

だから本当は、
「評価される場所」ではなく、
「自分の価値観を確かめる場所」なのだ。

でも私たちは、
選ぶ側であることを忘れてしまう。

“選ばれない怖さ”のほうに心が傾くからだ。


ある女性がいた。

彼女は35歳で、長年働いた職場を辞めた。
少し休もうと思っていたけれど、
貯金や将来を考えるうちに、
「次の仕事も、結婚も、早く決めなきゃ」と焦り始めた。

婚活サイトに登録し、転職エージェントにも相談。
毎日、誰かと話しているのに、
心がどんどん擦り切れていった。

「どっちも頑張ってるのに、
何ひとつ決まらない自分が情けない」

そう言って涙をこぼした彼女に、
ある友人が静かに言った。

「“決めること”が目的になってるのかもね。
 でも、本当は“生きたい未来”を選ぶことが目的じゃない?」

その言葉に、彼女はハッとしたという。


婚活も就活も、“ゴール”ではなく“スタート”。

内定も、結婚も、
人生の“入り口”にすぎない。

でも、私たちはそこを“終点”のように感じてしまう。
だから、「早く決めたい」「失敗したくない」と焦る。

けれど本当は、
“どんな未来を生きたいか”を考えないまま走ると、
どんな選択も長続きしない。

たとえば、
安定した会社に入っても、
誰かと結婚しても、
心の軸がなければ、また同じように迷うことになる。


婚活と就活を同時に頑張っている人は、
ある意味で、人生の“二つの土台”を同時に作ろうとしている。

それは、誰よりも勇気のいることだ。
でも同時に、人生を二倍の速度で見つめ直しているということでもある。

この時期にしか得られない大きなギフトがある。

――“自分をどう扱いたいか”が見えてくることだ。

就活では「自分をどう働かせたいか」。
婚活では「自分をどう愛したいか」。

この二つを考えることで、
「自分という人生」を誰よりも深く理解できる。


もし今、疲れているなら、
少し立ち止まってほしい。

婚活でも、就活でも、
“完璧な自分”を演じようとするほど、
心は息苦しくなる。

プロフィールにも履歴書にも、
「できること」ばかりを書いていないだろうか。

でも、本当に大切なのは、
「どんな環境なら自分が生き生きできるか」
「どんな人となら素で笑えるか」
その“感覚”だ。

婚活も就活も、
あなたの「感覚」を取り戻す旅でもある。


焦らなくていい。

婚活で出会いが進まない日も、
就活で面接に落ちた日も、
それは“見送ってくれた未来”があるだけのこと。

あなたの人生は、誰かの承認で動くものではない。

婚活も就活も、
結局は“自分を生きる選択”だ。

「誰かと生きたい」も「働きたい」も、
その根っこには同じ想いがある。

――“私らしく生きたい”。

その想いを忘れなければ、
たとえ遠回りでも、
あなたは必ず、自分の場所にたどり着ける。


婚活と就活を同時に進める時間は、
“人生の棚卸し”のようなものだ。

あなたが何を大切にして、
どんな未来を信じたいのかを問われる。

だからこそ、
「決まらない自分」を責めるのではなく、
「探している自分」を誇ってほしい。

未来を本気で考える人は、
今を真剣に生きている人だから。

婚活も就活も、
本当の意味で“自分を選ぶ練習”なのだ。

その先にある出会いも仕事も、
あなたの誠実さを土台にして、
静かに形になっていく。

焦らず、比べず、
あなたのペースで進めばいい。

“決まる”よりも、“納得する”。
それが、
婚活と就活を同時に進める女性にとっての、
本当の幸せの形だと思う。